暗い会場でライブを撮影するときのコツとか
暗い会場でのライブイベントの撮影のやり方を教えてほしいというリクエストをいただいたので、書いてみたいと思います。
過去に撮影した写真を使おうかと思ったのですが、権利的な問題で難しいので、フリー素材サイト「足成」からライブ写真をいくつかお借りして解説します。あくまで僕の撮り方なので、人によっても違ってくると思います。
先に言っておきますが、ライブの撮影は難しいです。きちんと撮るのは、撮影の基本を知っていることが前提になります。
デジカメの設定
まずはライブで撮影する場合のデジカメの設定です。
個人的には、レンズは次の2本を準備しています。
- 広角ズームレンズ(ない場合は標準ズームレンズでも可)
- 望遠ズームレンズ(ない場合は高倍率ズームレンズでも可)
ライブ中にレンズ交換するのは面倒なので、できればカメラも2台用意してそれぞれに別のレンズをつけておきたいところですが、それはいくらなんでもムチャなので、1台でもOKです。この場合は、撮りたい写真に応じてレンズを選びましょう。どういう写真にどういうレンズが必要かは後述します。
さて、次にデジカメの設定ですが、モードダイヤルは「M(マニュアル)」に設定します。オートでも撮れなくはないのですが、なるべく失敗を減らすためには「M」がオススメです。
マニュアルモードは、自分でデジカメの設定をいろいろといじるモードです。簡単にいえば「どう撮るか」をカメラが勝手に判断するのがオートで、自分で判断するのがマニュアルモードです。
マニュアルでは主に「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」の4つを設定します(「ホワイトバランス」はオートでOK)。それぞれの設定方法は手持ちのカメラの説明書をご覧ください。
数値はひとまず、次のように設定します。
- 絞り→そのレンズでもっとも明るい(小さいF値)数値
- シャッター速度→動きの激しいライブなら1/250程度。静かなコンサートなら1/125程度。
- ISO感度→3200程度(とりあえず)
マニュアルモードでは、写真の明るさを自分で調整する必要があります。オートのように「なんとなくいい感じ」にはしてくれないので、ヘタすると真っ暗とか、真っ白とかになる可能性もあります。なので、設定したらさっさと1枚撮って、明るさの確認をしましょう。
上記の設定で、極端に暗くなったり明るくなったりする場合は、ISO感度を変更して明るさの調整します。
- ISO感度の数字を下げる→暗くなる
- ISO感度の数字を上げる→明るくなる
です。これを覚えておけば大丈夫。絞りとシャッター速度はビギナーの場合、最初の設定から変えなくてもOKです。ライブ中は撮った写真をたまに確認して、ISO感度で明るさの微調整を行います。
なぜこんな面倒なことをするのかというと、ライブは光の強さが演出でコロコロ変わるため、フルオートではカメラが混乱することが多いからです(でも最近のカメラのオートは優秀なので、そこそこ撮れたりしますが)。
それでもオートで撮りたい! という場合は……
撮る方法もなくはないです。次のように設定します。
- モード→マニュアル
- 絞り→さっきと同じ
- シャッター速度→さっきと同じ
- ISO感度→オート(上限を3200~6400に設定)
この設定にすると、先ほどの「ISO感度を自分で調整する」という作業がなくなるので、オートと同じようにシャッターを押すだけで撮れます。もし、「マニュアル」モードでISO感度をオートにできない機種の場合は、
- モード→シャッター速度優先オート(TvもしくはTモード)
- シャッター速度→さっきと同じ
- ISO感度→オート(上限を3200~6400に設定)
これでOKです。とにかくブレブレにならないことが大事。もちろん意識してブラすこともあります。たとえば"顔はブレないけど、ギターを弾く手はブレている"写真を撮りたい場合ですね。
その場合は、顔はブレないけど手はブレる程度の、ちょうどいいシャッター速度を現場で見つける必要があります。あえて"全部ブラしまくる"のも動きが出て面白いのですが、それは慣れてからやりましょう。
あと、オートフォーカスの設定も本当は細かくいじった方が打率が上がるのですが、それなりに難しいのでここはデフォルト設定のままで大丈夫です。動き続けるスポーツと違ってライブは決めポーズで動きが止まることが多いので、たぶんそこそこ撮れます。
撮りたい写真とレンズの関係
まずはこの写真から。たぶん、ライブ写真と聞いて真っ先にイメージするのは、こういうのですよね。遠近感があって、迫力たっぷりです。
この迫力を出すためには、広角レンズでステージに近づいて撮影します。ない場合は標準ズームレンズでも可ですが、迫力は広角レンズよりも劣ります。
デジカメのズーム機能には「ワイド(引き)」と「ズーム(寄り)」がありますが、遠くからズームで拡大して撮ってもこの迫力は出せません。
遠近感による迫力は、被写体と自分との距離で生まれます。近づくほど遠近感が増し、写真が歪んで迫力が出ます。
なので、そもそもステージに近寄れない場合、こういう写真は撮れません。
イベントにもよりますが、ステージに近づいて撮影できるのは公式カメラマンだけというケースがほとんどだと思います。その場合は残念ですがこのタイプの写真はあきらめましょう。
……ということで、だいたいこういう感じの写真になることが多いです。これはある程度遠くから望遠レンズでズームして撮っていると思われます。先ほどの写真のような歪んだ迫力はありませんが、これはこれで必要な写真です。会場の広さにもよりますが、最低200mmくらいまでズームできるレンズがないとアップで撮ることは難しいと思います。
構図は自由でいいと思いますが、たまに斜めにしてみると勢いが出て面白いですね。
ということで、この手のイベントでは一般的に広角レンズよりも望遠レンズを使うことの方が多くなりがちです。
ただし、ダブルズームキットあたりの望遠レンズをカメラにつけっぱなしにしておくと、今度はワイドで観客を入れたような写真が撮りにくくなります。
こういうやつですね。
もし両方をいっぺんに撮りたい! というのであれば、必要なのは高倍率ズームレンズ一択となります。
ニコン、キヤノンの場合、だいたい18mm~200mmとか、18mm~300mmなんてレンズもあって、ワイドからズームまで思いのままです。ただ、その分画質はイマイチですが……。
まあ、こうやって考えたり迷ったりする時間が一番楽しいんですけどね!