タイ人が日本で撮影した美麗な写真が、どの機材で撮られたものなのか検証してみた
タイの方が日本で撮影したという写真がとても美しいと話題になっています。(via 日本を愛するタイ人の撮影した写真が美しすぎて完全にプロの犯行www)
※追記:ブックマークコメントから撮影者の方のサイトとFlickrが判明したので、リンクしておきます。
Flickr: @Mahalarp's Photostream
Mahalarp | journeys & musics never ended …
たしかにどれもすばらしい写真です。いったい、どんな機材で撮影しているのか、気になった方も多いのではないでしょうか。
写真のExifから、撮影した方の機材を予想してみました。
使用しているボディは3台
まず、確実に言えることは、この方が使用しているカメラは少なくとも3台あるということです。Exif情報にはボディの情報が残るので、これは確定です。
左から、ニコンのDf、パナソニックのGX7、オリンパスのE-M5となります。どれもマニアックとまでは言いませんが、カメラ好きでないとなかなか手を出さない機種です。なお、GX7とE-M5はメーカーこそ異なりますが、マイクロフォーサーズという同一の規格を採用しているため、レンズを使いまわすことができます。ニコンのDfは別規格になるので、マイクロフォーサーズとレンズを使いまわすことはできません。
マイクロフォーサーズレンズ編
続いてレンズを予想していきましょう。Exif情報からは、焦点距離とF値の情報が読み取れます。ここから、該当するレンズを予想していきます。
まずこちらの写真のデータ。
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:25mm(35mm換算50mm)
絞り:F1.4
となっています。
おそらくこのレンズは、
パナソニックが誇る銘レンズ、25mm F1.4でしょう。ピント面のシャープさと非常に美しいボケ味はライカブランドを冠するだけのことはある逸品です。マイクロではない方のフォーサーズにも同一スペックのレンズがあるのですが、GX7で使うメリットはあまりないですしAFが極端に遅くなるので、おそらくマイクロフォーサーズのレンズだと思います。
そしてもう一つ、撮影者が所有していると思われるレンズが、35-100mm F2.8のズームレンズです。なぜかというと、
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:72.0mm(35mm換算144mm)
絞り:F4.0(レンズの開放F値2.8)
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:100mm(35mm換算200mm)
絞り:F11.0(レンズの開放F値2.8)
このあたりの写真を見ると、少なくとも72mm~100mm程度のテレ端を持つ開放F値2.8のレンズで撮影していることになります。この条件を満たすのは、パナソニックの35-100mm F2.8か、オリンパスの40-150mm F2.8のどちらかとなりますが、
- パナソニックのGX7に装着するなら同じパナソニックのレンズが自然(GX7はボディ内手ぶれ補正機能がありますが、2段程度なので望遠レンズでやや不安)
- これらの写真が撮影された時点ではオリンパスの40-150mmはまだ発売前
この2点から考えて、
こちらでおそらく間違いないでしょう。ちなみに僕も所有していますが、ズームレンズとしては最高レベルの画質を叩き出しながらコンパクトなサイズをキープしたすばらしいレンズです。マイクロフォーサーズユーザーなら必携と言っても過言ではありません。
それから、この方は35-100mm F2.8の兄弟レンズとも言える、12-35mm F2.8もおそらく所有しているでしょう。
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:17mm(35mm換算34mm)
絞り:F11.0(レンズの開放F値2.8)
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:12mm(35mm換算24mm)
絞り:F4.0(レンズの開放F値2.8)
12mm~17mmあたりのレンジを確保しながら開放F値が2.8という時点で、12-35mm F2.8を使っているもののと思われます。
これも所有していますが、35-100mm F2.8と同じくすばらしいキレを見せてくれるレンズです。それでいて小型軽量で手ぶれ補正も強力。マイクロフォーサーズで仕事をしているライターの多くが所有しているレンズではないでしょうか。
このあたりはわりとメジャーなレンズなのですが、驚いたのはこちらの写真。
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:42.5mm(35mm換算85mm)
絞り:F2.2(レンズの開放F値1.2)
Exifビューワーには43mmと表示されましたが、おそらく正確には42.5mmでしょう。何が驚いたかというと、開放F値の1.2です。この焦点距離と開放F値を満たすレンズは、
このレンズしかありません。マイクロフォーサーズ究極のポートレートレンズとして、今年の頭にリリースされたばかりのレンズです。写りは極上ですが、値段も極上です。なんと15万円オーバー。この写真が撮影されたのが4月1日なので、日本で発売されてすぐ購入していることになります。このレンズに手を出していることからも、かなりカメラと写真に凝っていることがわかります。
もうひとつ、
カメラ:パナソニック GX7
焦点距離:7mm(35mm換算14mm)
絞り:F5.6(レンズの開放F値4.0)
この写真で使われているレンズは、
この、7-14mm F4.0の超広角ズームレンズしかありえません。僕も所有していますが、コンパクトにもかかわらずすばらしい写りをするレンズです。同様のスペックを他の規格で求めると、ニコンの14-24mm F2.8あたりになるのですが、そうすると重く高級になることから、7-14mmの方をかなり重宝しています。
ニコン編
さあ、マイクロフォーサーズはこのあたりにして、次にニコンDfで使用していると思われるレンズを検証していきましょう。
まず確実なのは、
カメラ:ニコン Df
焦点距離:24mm
絞り:F8.0(レンズの開放F値1.4)
これはわかりやすいですね。24mmなので14-24mm F2.8かとも思いましたが、開放F値が1.4なので、
このレンズでしょうね。ファンの間でも"別格"扱いを受けている最高のレンズの一つです。欲しいのですが、単焦点は取材では使いにくいので手が出ません……。
それからこれ。
カメラ:ニコン Df
焦点距離:85mm
絞り:F11.0(レンズの開放F値1.4)
85mmでF1.4ということは、
このレンズでしょうね。これは僕も持っていますが、めちゃくちゃ解像しながらもしっとりととろけるようなボケ味を持つレンズです。こいつをF11まで絞ってDfで撮影するとは、なんという贅沢でヨダレが出そうなシチュエーションでしょうか……! たまらん!
カメラ:ニコン Df
焦点距離:58mm
絞り:F8.0(レンズの開放F値1.4)
スーパー夜景レンズこと、58mm F1.4ですね。コマ収差を良好に補正し、さらに被写体との距離によって写りが変わるという面白いレンズです。Dfと同時期に出たので、両方一緒に買う人も多かったようです。うちの妹も同時にゲットしていました。
カメラ:ニコン Df
焦点距離:16mm
絞り:F11.0(レンズの開放F値4.0)
開放F値が4.0のレンズ、いわゆる小三元はニコンには3本存在しますが、16mmで撮れるのは16-35mmだけなので、たぶんこれでしょう。
カメラ:ニコン Df
焦点距離:50mm
絞り:F16.0(レンズの開放F値1.8)
50mm F1.8はたくさんあるのでどれなのかははっきりしませんが(オールドレンズという可能性も)、普通に考えれば最新のGレンズでしょう。さらに、Dfはレンズキットに50mm F1.8との組み合わせがあることから、Dfをレンズキットで購入したと考えるのが自然かなと思います。
2012年発売のE-M5も使っているようなので、以前からマイクロフォーサーズユーザーだったことは確実。日本滞在時にニコンDfをレンズキットでゲットし、高級単焦点を揃えていった……という感じでしょうか。
ということで、まとめ。
この方が使っているボディとレンズは以下の通りです。
【マイクロフォーサーズボディ】
【マイクロフォーサーズレンズ】
【ニコンボディ】
【ニコンレンズ】
広角から望遠までまんべんなく揃っており、マイクロフォーサーズならではのコンパクトさと、フルサイズ単焦点ならではのボケを堪能できる組み合わせになっているという印象。
同じ機材をそろえても同じ写真が撮れるわけではありませんが、一つの参考にどうぞ。