コメモ。

日記。メモ。備忘録。

ニコニコ超会議を取材するために選んだカメラ機材と、その理由について。

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4月26日、27日に幕張メッセで行われたニコニコ超会議というイベントを取材してきました。記事や写真はそのうちメディアに載ると思いますが、それはそれとして、ここでは「イベントを撮影する仕事」という観点から今回の仕事を振り返ってみたいと思います。メディアではなかなかこういう話は書けないので。

簡単にいうと、本記事で書きたいのは、

「何を考えて機材をチョイスしたのか」

ということと、

「その機材を選んで仕事はどうだったのか」

ということです。

似たようなイベントに行く場合の参考になれば幸いです。

 

何を考えて機材をチョイスしたのか

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今回、僕が現地で使用したカメラはこちら。

オリンパスのフラグシップモデルOM-D E-M1と、フォーサーズのズイコーデジタル 12-60mm F2.8-4.0というレンズの組み合わせです。これはなかなかにマニアックな組み合わせで、おそらく記者の中に同じ機材を使っていた人はいなかったのではないかと思います。じゃあなぜこれを選んだのか。ポイントはいくつかありました。

  • 2日間ぶっ通しのイベントなので、なるべくカメラの重量は軽くしたい
  • 広角は24mm、望遠は100mmはほしい。
  • 会場内でレンズ交換する暇はあまりない。1本で何とかする必要あり。
  • マイクロフォーサーズは高感度が弱いので、少しでも明るいレンズが良い。
  • イベントを撮る場合はチルト式の液晶と、ライブビューでの高速なAFが使える方が良い。

これらの条件を満たせるカメラとレンズの組み合わせは、手持ちの機材の中ではこれしかありませんでした。

では実際の使い勝手などをひとつずつ振り返ります。

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2日間ぶっ通しのイベントなので、なるべくカメラの重量は軽くしたい

実は、昨年のニコニコ超会議も取材しているのですが、そのときはニコンのD800EにNIKKOR 28-300mm F3.5-5.6という高倍率ズームレンズで撮影していました。望遠側が300mmまで伸びるのはとてつもなく便利なのですが、いかんせんD800Eの重さは約900g。28-300mmは800gなので、足すと2kg近くになってしまいます。昨年はこれを抱えて2日間会場をうろついていたのですが、まぁ重いこと重いこと! 疲れ具合がハンパなかったです。

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それに対してOM-D E-M1とZD 12-60mmの組み合わせなら合わせても約1kg。この違いが、2日間歩きっぱなしの状況ではじわじわと効いてきます。

人によって許容できる重さは違うと思いますが、1日中歩きづめのようなイベントでは、想像以上に重量が負担になることは間違いありません。今回の選択はその意味で正解でした。

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広角は24mm、望遠は100mmはほしい。また、会場内でレンズ交換する暇はあまりない。1本で何とかする必要あり。マイクロフォーサーズは高感度が弱いので、少しでも明るいレンズが良い。

撮影場所が固定されるイベントでは、どうしてもズームレンズが必要です。さらに、超会議のようなイベント取材ではレンズ交換がとてもやりづらく、できればレンズ交換なしに済ませたいところです。

経験上、ニコニコ超会議では100mm以上の望遠があった方がいいことはわかっていました。また、狭いブースに入って全体を撮影することも多く、その点では広角は換算28mmではなく換算24mm始まりがほしかったので、35mm換算で24-120mmをカバーできるZD 12-60mmをつけていくことにしました。

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しかもこのレンズはF値が2.8-4.0と明るいので、室内で光量の足りない超会議でシャッター速度を稼ぐにはうってつけでした。フルサイズなら強引にISO感度を上げてしまえばいいのですが、高感度性能が弱いマイクロフォーサーズでは明るいレンズが必須です。

ちなみにZD 12-60mmは本当はマイクロフォーサーズ用にもっと軽くて同スペックのレンズがあればいいのですが……ないものは仕方ないので、アダプタをかませて使いました。換算24-120mmは取材のマストレンズなので、早く出してくれないなぁと期待しています。

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イベントを撮る場合はチルト式の液晶と、ライブビューでの高速なAFが使える方が良い。

実はニコンにも24-120mm F4という超便利なレンズが存在します。それをD800Eにつけていくという手もあるにはあったのですが(重量の問題はやはりありますが)、それ以外にもD800Eには問題があります。

というのは、D800Eでは液晶モニタがチルトせず、ライブビューでのAFが激遅いのです。

超会議の各ブースは、一部を除いてカメラマン用の席が設けられていません。つまり、一般のユーザーに混じって撮影することになります。そうなると、人の頭を避けるためにカメラを高く構えて撮影することがどうしても多くなります。

するとファインダーがのぞけないので、ライブビューに切り替えて液晶モニタを見ながら撮影することになるわけです。D800Eのライブビューは"一応使える"程度で、AFがクソ遅く使い物になりません。この点からも、ライブビューで高速なAFが使えるミラーレス機の方が向いていると判断したわけです。

最近はキヤノンのEOS 70Dのように、バリアングル搭載&ライブビューでも高速なAFを実現している一眼レフが発売されていますので、そちらもオススメです。

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反省点

ということでチョイスしたOM-D E-M1はフラグシップモデルということもあり、概ね満足いくパフォーマンスを発揮してくれたのですが、それとは別のところで反省点もありました。

まず、ライブビューが使えるとは言ってもやはり高さが足りない場面は多かったため、脚立が必要でした。もちろん機動力を考えると常に持ち運ぶわけにはいかないのですが、それでもピンポイントで持ち出すべき場面はいくつかありました(幸運にも隣にいた方に貸してもらえました)。今回は撮影に専念するわけではなく、自分が超会議を体験する取材でもあるため、邪魔になると判断して脚立は持っていかなかったのですが、持って行った上で控室に置いておくべきでした。

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もうひとつ、換算300mm程度の望遠レンズはやはり必要でした。今回はもうひとりカメラマンを同行させていたため、そちらに任せることができたのですが、120mmでは足りない場面が若干ありました。主に安部首相が来場したときと、相撲の撮影のときです。いちいちレンズ交換する暇はないので、これも控室に置いておいて、ピンポイントで付け替えることになりそうですが……。

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じゃあ2台持ちすればいいじゃん

ハイ、それが理想です。結局のところ、取材における最強の組み合わせはフラグシップに大三元ズーム2本、そして脚立。ここに行き着きます。実際、安倍首相だけを撮りにきたような政治部のカメラマンなんかはフル装備でしたね……。

でもさすがにそれは重さが無理! なのでまぁ、今回の装備はちょうどいい落とし所だったのかなーと。

ちなみにニコニコ超会議の初日は、政治、スポーツ、ウェブ、芸能と、あらゆるジャンルの記者が集まっており、マスコミの異種格闘技戦みたいになっていました。あれだけいろいろな分野の記者が集まるイベントは超会議くらいでしょうね……。

てな感じで、超会議取材を撮影という点から見た裏話でした。

来年はどうなるかな~。