コメモ。

日記。メモ。備忘録。

イメージセンサー大型化が進むカメラ業界でのペンタックスQの存在意義

PENTAX ミラーレス一眼 Q-S1 ズームレンズキット [標準ズーム 02 STANDARD ZOOM] ゴールド 06239
ペンタックスQというデジカメがあります。

レンズ交換式なので、いわゆる「ミラーレス一眼」に分類されるカメラなのですが、最大の特徴はそのコンパクトさ。最新のQ-S1のボディは約105.0mm(幅)×58.0mm(高)×34.0mm(厚)で、重さは183g。レンズの厚みがこれに加わりますが、感覚的にはスマホよりも小さいくらいです。

ただ、このペンタックスQ、最近の高級コンデジのトレンドを受けて立ち位置の確保に苦労している感があります。

まず、画質に直結するセンサーサイズが大きい方でも1/1.7型と、ちょっと前のコンデジサイズ(ペンタックスQはセンサーサイズが2種類あります)です。

最近だと、ペンタックスQと同じくらいコンパクトな高級コンデジのソニーRX100シリーズやキヤノンG7Xなどはさらに大きな1型センサーを搭載していますので、サイズ対画質比ではどうしても不利な戦いを強いられてしまいます。

さらにレンズも、標準ズームが35mm換算で23-69mm F2.8-4.5と決して明るいレンズではなく、RX100markIIIの24-70mm F1.8-2.8やG7Xの24-100mm F1.8-2.8に比べると地味なスペックです。

同じくらいのかさばり具合で、センサーが小さく、標準ズームレンズが特別明るいわけではないとなると、果たしてペンタックスQの存在意義はどこにあるのか……と考えてしまうかもしれませんが、決してペンタックスQの存在意義が失われたわけではありません。

ペンタックスQのすばらしいところは、なんといってもレンズ交換できること。そして、レンズ交換できるカメラとしては極小であること。これに尽きます。

……何を今さら当然のことをと思われるかもしれませんが、センサー性能や標準ズームレンズのスペックだけに目がくらんでいると、基本的なことなのに意外と見過ごしがちなんじゃないかと思うのです。

標準ズームレンズだけを使っていれば、そりゃあRX100markIIIでいいやとなるかもしれませんが、実はペンタックスQに撮れて、ほとんどの高級コンデジ(そしてもちろんスマホにも)には絶対に撮れない写真があります。

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それは超広角の写真です。

↑の写真はペンタックスQの超広角レンズで撮ったものではないのですが、画角は35mm換算18mmなので、ペンタックスQにラインナップされている超広角レンズとほとんど同じです。

PENTAX 広角ズームレンズ 08 WIDEZOOM Qマウント 22827

PENTAX 広角ズームレンズ 08 WIDEZOOM Qマウント 22827

↑ペンタックスQの超広角ズームレンズ。35mm換算で17.5mmから27mm相当となります。

超広角レンズを使うと、視界よりも広い範囲をすべて1枚に収めることができます。コンデジやスマホでも遠くから撮れば収めること自体はできるのですが、近寄って遠近感を強調したダイナミックな写真は超広角レンズにしかできない芸当です。

ほとんどのコンデジは24mm始まりがやっとで、スマホはほとんどが30mm前後。望遠はトリミングで何とかなっても、18mmのような画角はレンズ交換できるカメラでないと撮れません。ここに、ペンタックスQという「レンズ交換式で極小のカメラ」の存在意義があるのではないかと思います。

さらに、センサーサイズが小さいのも不利なことだけではありません。画質面やボケはつけにくくなりますが、それはつまり「ボケにくい=ピントが全体に合いやすい」ということでもあります。超広角を使うときはピントを全体に合わせたい(ボケさせたくない)ことも多いでしょうから、ペンタックスQのセンサーサイズと超広角撮影は特性がガチッと噛み合っていることになります。

PENTAX 魚眼単焦点レンズ 03 FISH-EYE Qマウント 22087

PENTAX 魚眼単焦点レンズ 03 FISH-EYE Qマウント 22087

フィッシュアイレンズも面白いですね。これも汎用性を重視する高級コンデジには撮れない写真が撮れます。

そのサイズ感から、ついコンデジと比べてしまいそうになりますが、やはりレンズ交換式カメラはレンズ交換式カメラと比較するべきだろうと思います。

……ところで、そんなペンタックスQですが、ここ2年ほど性能がまったく更新されていません。

昨年発売されたQ-S1はデザインはレトロモダンな感じでたいへん好みなのですが、中身は2013年のQ7の焼き直しであり、さすがに古さがただよっています。

ペンタックスQユーザーは最新技術がどうとか画素数がどうとか、そういうスペック競争を好むタイプではないとは思いますが、これから買うのであればやはりセンサーの更新及び、Wi-Fiの搭載、背面液晶の精細化あたりは必須でしょう。個人的にはタッチパネル化、チルト液晶あたりも可能なら希望したいところ。

最悪、センサーは今のままでもいいので(供給元のソニーが1/1.7型センサーについてはやる気なさそうですし……)、他の部分を更新した新機種をぜひ出してください。

センサーサイズやレンズの明るさがセールスコピーにならないのであれば、↑のように「超広角や魚眼などコンデジやスマホでは絶対に撮れない写真が撮れる最小のカメラ」として売るのはどうでしょうか。超広角って、ビギナーにとっても新鮮だと思うのですよね。