桜の撮影はけっこう難しい
都内の桜が見頃を迎えたというニュースを見たので、撮影しに行ってきました。小石川後楽園と六義園を訪れたのですが、さすがに人が多くて大変でした。
そもそも、桜の撮影はけっこう難度が高いのです。
桜の名所はだいたい混雑します。土日の都内ともなればなおさらです。
風景を撮影する場合、なるべく人を入れずに撮りたいという人が多いと思いますが、桜の撮影で人を完全に排除するのはほぼ不可能です。
その場合は、むしろ人を積極的に入れて撮ることにしています。その方が結果的に"その時しか撮れない写真"になることもあります。
望遠レンズで背景をボカして処理してしまう手もあります。広角から望遠まで1本でカバーできる高倍率ズームレンズがあると便利ですが、夜桜の撮影では明るさが足りなくてちょっとしんどいです。
ボカそうとするとつい絞り開放で撮りたくなりますが、あまり開放だと重なる桜自体がボケるので、絞りを変えながら何枚か撮っておきました。
こういう写真ではF11~16くらいまで絞り込んで撮影します。ピクチャースタイルは「風景」か「ビビッド」を基本にします。シャッター速度は手ブレしない程度でいいのですが、桜は風でけっこう揺れるので、ブラしたくない場合は1/200くらい欲しいところです。ここを基準にISO感度を設定します。
桜を引きで撮るときは、桜よりもむしろ"一緒に何を入れて撮るか"を意識します。人工物や緑色が入ると面白いですね。
青い色の服の女性が入ってくれて、面白い色合いになったかなと思います。
特に緑色は積極的に背景に選びたい色です。背景の色が濃い場合は若干マイナスに露出補正すると、桜の色がしっかり出ます。
どうしても人がうまく処理できないときは、いったん離れてみるとアイデアが浮かぶこともあります。
とはいえ、桜が難しい被写体であることは間違いありません。昼はまだいいのですが、難しいのは夜桜です。
夜桜の撮影では三脚が必須です。……と、雑誌などでは書いてあるのですが、実際には三脚が使えない場所も多いです。たとえば六義園では一番大きなしだれ桜の周りは三脚が禁止されていました。そもそも人が多すぎて三脚なんてとても立てられないのですが。
そんなときはどうやって撮るかというと、気合で手持ちです。たとえばこの写真はISO感度1600、F2.8、1/30秒で撮っています。1/30秒なんて楽勝でしょという人は多いと思いますが、実際にはものすごい人混みの中、ローアングルで手持ち撮影しているので、これでもけっこうギリギリでした。このレンズは手ブレ補正もないですし。
本当はもっと絞りたいのですが、ISO感度をこれ以上上げたくなかったので仕方なく開放で撮影しています。
それでも夜空を背景にした桜はとても写真映えする被写体で、手持ちだろうと挑戦したくなる魅力があります。
特にしだれ桜はこぼれ落ちてくるような桜の花が魅力なので、広角レンズでできるだけ近づき、ローアングルであおるように撮ると迫力が出ます。
本当はこういうときはバリアングルやチルトできるデジカメで、なおかつコンパクトで他の人の邪魔にならない三脚があると便利です。
せっかくなので桜以外も撮影しました。人が多かったのはしだれ桜の周りだけで、このあたりはけっこう余裕がありました。
とはいえ、六義園がライトアップされるのはこの時期だけらしいので、こちらもぜひ見ておきたいですね。
昼とはまた違った風情があります。
お茶屋さんからも桜が見えるようです。
……と、そんな感じで桜の撮影は難しかったです。来年はもう少しうまく撮れるようになりたいですね。