4K動画が撮れるデジカメ「GH4」が、取材における写真のあり方を変えるかもしれない。
4月24日にパナソニックから新しいデジカメが発売されます。
その名は「LUMIX DMC-GH4」。
こいつがデジカメのあり方を変えるきっかけになるかもしれないということで、個人的に注目しています。
何が画期的なのかというと、この「GH4」は4K動画が撮影できるのです。
これは、ミラーレス一眼としては世界初の仕様となります。
ていうか、そもそも4K動画って何よ?
という人のために説明すると、
4K動画というのは、これまで主流だったフルハイビジョンの約4倍の解像度を持った動画のことです。
もうちょっと細かく説明しますね。
写真や動画で、よく画素数という言葉を聞きますよね。
1600万画素とか、2000万画素とか。
あれは何かというと、それだけの数の小さな点で写真ができているということなのです。
たとえば↑この写真。
3:2の写真で約1600万画素のD7000というカメラで撮った写真です。
一部を切りだします。
これをもっとグーッとズームしていくと、
こうなって、
こう。
ね、点が並んでいるでしょう。
D7000の場合、横と縦の点の数は4928×3264です。つまり、横に4928個、縦に3264個の点の集まりで写真ができているわけですね。
だから4928×3264で1600万画素なわけです。
現在、デジカメの画素数はだいたい1200~2400万画素くらいが主流です。
ものによっては3600万画素なんてものもあります。
ちなみにiPhone 5sは800万画素で、他のスマートフォンは1300万画素くらいが主流でしょうか。
ただし、これはあくまでも写真の話です。
たとえば800万画素のiPhoneで動画を撮影したとして、動画の画素数はいくつになるでしょうか。
同じiPhoneで撮影しているのですが、800万画素ではないんですね。
答えは約200万画素です。
点の数でいうと「1920×1080」となります。これが、いわゆる「フルハイビジョン」と呼ばれる動画です。
そう、動画は写真よりもずっと点、つまり画素数が少ないんですね。
現在はスマートフォンでもデジカメでも、動画を撮るとだいたいこの「フルハイビジョン」で記録されます。そのデジカメで撮れる写真の画素数は関係ありません。
じゃあ4K動画の画素数はいくつかというと、フルハイビジョンの約4倍。つまり、約800万画素で記録できるのです。これは、「写真がそのまま動いている」ようなものです。
GH4のおそろしいところは、デジカメとしても十分ハイスペックでありながら、さらに4K動画機能を搭載して約17万円という価格で出してきたこと。ボディもコンパクトですし、一般家庭にあってもおかしくありません。というか、その層も狙った値付けでしょう。
今後、4K動画が一般家庭に普及することは間違いありません。なぜなら、4K動画が撮影できるスマートフォンが出てきたからです。スマートフォンでもデジカメでも4K動画が撮れるとなったら、別にデメリットがあるわけではないので自然に広がっていくでしょう。
さて、そうなると、写真文化にどんな変化が生まれるか。
これまでは写真は写真、動画は動画として分けていたものが、だんだん融合してくる可能性があるのではないかと思うのです。
何しろ4K動画は800万画素です。しかも、数年後にはおそらく8K(3300万画素)動画も出てきます。
こうなると、動画で撮影しておいて、後から切り出すだけでも十分写真として通用してしまいます。
もちろん、動画のフレームレートを考えると、スポーツ写真など動きの速いものを撮るときはブレブレになってしまうので、そう簡単に置き換えられるわけではありませんが、少なくともこれまで写真の領域だった部分に動画が入り込んでくることは間違いないのではないかと思います。
特に、取材の現場では三脚を立てて動画で一部始終を撮影し、後から切り出して写真として使うという方法で仕事をしている記者がすでに何人もいます。その方が現場での記事の執筆に専念できるからです。
現時点では200万画素なのでウェブ媒体くらいでしか使えませんが、4Kや8Kで撮れるカメラが安価に手に入れば、取材のやり方が大きく変わる可能性もあるのではないかと思います。
フィルムに取って代わったデジカメの進化のスピードは予想以上だったと、知り合いのカメラマンが言っていました。
5年後、写真がどうなっているか、ちょっと想像がつきません。
YouTubeにはGH4で撮影されたオフィシャルの動画がアップされています。小さな画面で見てもピンとこないかもしれませんが、画面の精細さが少しは伝わるのではないかと思います。