【レビュー】ニコン「AF-S 24-70mm F2.8G ED」は開放から安定した解像力を持つ優秀なレンズ。純正標準ズームレンズの中ではずば抜けた性能。
ニコンの標準ズームレンズ「AF-S 24-70mm F2.8G ED」をレビューします。
念のため断っておくと、新型の「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」ではなく、2007年発売の旧型の方です。新型はまだ使っていませんが、各所のレビューを読む限りでは手振れ補正がついたかわりに大きくなり、AF速度が上がったこと以外はほぼ旧型と似た性能を発揮しているようです。なので、新型の購入を検討されている方にも参考になるかもしれません。
主な用途は、取材やインタビューでの撮影です。
手振れ補正については、そこまで低速なシャッタースピードを要求されることはそれほどないですし、取材で使うと被写体ぶれの方が怖いので感度を上げてでもシャッタースピードを稼ぐことが多いです。ただ、取材先での物撮りではやはり手振れ補正がほしい場面はあります。
今回のテストは遠景です。ボディはD800E。近接撮影ではまた少し違った結果が出るかもしれません。
RAWで撮影し、Lightroomで各種補正を外してストレート現像しています。よって、歪曲や色収差、周辺光量落ちなどがそのまま出ています。補正をかけるか、jpg撮って出しをすると、これらは改善されます。
ワイド端の開放、24mm F2.8で撮影しました。このサイズでもぱっと見ただけでけっこうな周辺光量落ちと樽型の歪曲があることがわかります。
周辺光量落ちに関しては一段絞ると急速に改善します。
F5.6で気にならないレベルに。
解像感に関しては、中心は開放から優秀です。
周辺は中心にくらべるとちょっとゆるい。ただ、個人的にはまったく問題なし。
一方で色収差は派手に出ます。緑っぽい縁取りが出ているのがわかるでしょうか。これはカメラ内の補正で解消できるので特に問題はないでしょう。
F4に絞ると少しシャキッとします。
中心。
周辺。
色収差……はあまり変わらない。
F5.6まで絞ると……
優秀なズームレンズだと思います。
続いてF8。
隅がだいぶシャキッとします。このあたりがピークかな。
F11~16は割愛。
次に35mmにセットして見てみましょう。
35mm F2.8
やはり開放では周辺光量落ちが目立ちます。
F5.6で気にならないレベルに。
中心の解像はどうか。
問題ありません。字も読めます。
次に周辺。ちょっとモヤッとしますが、これだけ写れば十分じゃないでしょうか。
F4まで絞ると中心もわずかに解像感が増します。
一方、周辺は大きく改善します。
F5.6。すでに中心はピーク。隅はさらに改善。
F8。5.6と見分けがつきません。このあたりがピークでしょう。
F11以降は割愛しますが、大きく解像が落ちるようなことはないので、安心して使えます。
続いて50mmを見ていきます。
広角にくらべると控えめですが、周辺光量落ちはやはり見られます。一方で歪曲はほぼありません。
中心の解像。開放から見事です。
隅はやや落ちますが、これだけ写れば十分でしょう。
F4まで絞ると周辺光量落ちも気にならなくなります。
中心の解像に関しては開放とほぼ変わりません。気持ち解像感が増したかな、くらい。
隅の解像は多少シャキッとしたように見えます。
F5.6まで絞りました。パッと見はF4と変わりません。
中心は相変わらずすばらしく解像。
隅もかなりパキっと写っています。
F8まで絞りました。もう変わらないですね。
中心はピークが続きます。
隅もここまで解像。ほぼ均一に。
これ以降は絞っても変わらず、F16からはわずかに回折の影響が出て解像感が落ちますが、本当にごくわずかなので、F16までは絞り込んでもまったく問題ありません。
続いて望遠端となる70mmいってみましょう。
やはり多少の周辺光量落ちがありますね。歪曲はゼロに近くまったく気になりません。
中心は……ん、ちょっと甘いか? 色収差は相変わらず派手に出ています。
隅はそれほど悪くありません。モアレが出ていることからも解像していることがわかります。モアレはD800Eなのでしょうがない。
F4まで絞りました。周辺光量落ちが改善されます。
中心はわずかにシャープさが増します。
隅も改善。ここまで拡大しないとわからないレベルの違いではありますが……。
F5.6。周辺光量落ちはもう完璧に解消。
中心の解像が上がったためか、モアレが出始めました。
隅も相変わらずしっかり解像しています。
F8。
柵の線が一つひとつ分離するほどの解像力を見せています。ここがピーク。
隅もピークですね。といってもF5.6と見分けがつかないレベルですが……。
※追記
ちょっと70mm F2.8の解像が悪くない? と思ったので別日に撮り直してみました。
RAWストレート現像で補正を切っています。これを等倍で切り出していく。
中央。
中央2。
うーん……やっぱりこんなもんなのかな。
F5.6まで絞ると、
まぁこんなもんなのでしょう。それか個体差か。
最後に逆光耐性です。
F5.6で太陽を真正面にして撮影しました。
右上に太陽があるのですが、目立つゴーストもなく逆光耐性は良好です。さすがはナノクリスタルコート。もっとも、ナノクリスタルコートが施されていてもここまで逆行耐性のないレンズもあるので、やはり24-70mm F2.8は気合を入れて作られているということでしょうか。
以上、「AF-S 24-70mm F2.8G ED」の遠景実写レビューでした。
総合的に見て、中心は開放からズーム全域で非常に解像力が高く、周辺も実用上は問題ないレベルといえます。
周辺光量落ちはけっこうありますが、これも絞ると改善しますし、ズームレンズとしては十分でしょう。
色収差と広角の歪曲はかなり目立ちますが、ボディ内で簡単に補正できます。むしろ補正前提で作られているレンズという印象です。実際、今回のように補正をすべてはずして使うことはおそらくないわけで、そうなると特に弱点は見当たりません。新型に劣るとはいえAFも爆速で、ニコン純正の標準ズームレンズとしてはやはりずば抜けた性能を持っています。2007年のレンズですが、まったく古さを感じません。手ぶれ補正がいらないなら、価格が落ちてきてる旧型を今から買うのはありだと思います。
そのうち24-120mmと28-300mmもレビューします(すでにテスト済みです)。