コメモ。

日記。メモ。備忘録。

ゼノブレイドクロス感想

ブログほったらかして何をやっていたのかというと、ゼノブレイドクロスやってました。やっとクリアしました。

XenobladeX (ゼノブレイドクロス)

XenobladeX (ゼノブレイドクロス)

WiiU用のゲームで、前作「ゼノブレイド」から5年ぶりの新作となるRPGです。といっても、つながりはないので、前作をプレイしていなくてもOK。

前作が神がかり的な傑作だったので、今作へのファンの期待も相当なものがありましたが、実際のところはどうだったのか。クリアしたので感想を簡単に。



これからプレイを考えている人のために直接的なネタバレはもちろん避けますが、「全体としてこうだった」みたいな話はしますので、それもネタバレだと思う人は読まない方がいいかもしれません。

まず、トータルでの話ですが、結論からいうと、

「前作をプレイしていた身としては期待していたものと違っていたけど、めちゃくちゃ面白かった。ただし、惜しい部分も多かった」

という感想です。

先ほども書いた通り、前作が完璧すぎたため、今作にも似たようなものを期待していました。よくできたアニメのような演出、先の見えない伏線に富んだストーリー、こんな世界に住んでみたいと思わされる舞台――。

しかし、その点では期待に応えてくれたのは「世界」だけでした。

世界観

異星人の抗争に巻き込まれて地球を失った地球人が、超大型の宇宙船で地球を脱出し、惑星ミラに不時着。この星を第二の故郷にするべく開拓していく、という世界観。ニューロサンゼルス(NLA)を拠点に、広大な惑星ミラの謎を解き明かしていきます。

ミラにはいくつかの大陸・地域があり、「原初の荒野」「夜光の森」「忘却の渓谷」などバラエティに富んだフィールドが用意されています。

最大の特徴は、これらのフィールドにRPGにありがちな「見えない壁」がなく、本当にどこまででも歩いていける(一部、飛ばないと行けないところはありますが、後に行けるようになる)こと。前作でも広大かつ美しいフィールドが話題になりましたが、今作ではそれが100倍くらいに作りこまれています。凝った地形をしているので、クリアした後もなお、探索していて「こんなところに洞窟があったのか!」なんてこともしばしば。冒険家になった気分です。

カメラをグリグリ回しながら、景色を楽しみつつ走るのが本当に楽しい。マジで「惑星ミラ観光」をしているような気分で、ああ、ここにカメラを持って行って写真を撮りまくりたいなと思わされました。

これだけ凝ったフィールドを作り上げた開発者には敬意を表します。この世界を旅できたというだけで、ソフト+HDD代のもとは十分とりました。

他のいくつかの不満点をすべてかき消してくれるくらいに優れた部分でした。

ストーリー

多くの人がレビューで書いているように、ストーリーは明らかに前作よりも淡白です。というよりも、前作がすごすぎた。今作も決して悪いわけではないのですが、やはり前作をプレイしていると、「ゼノブレイド=ストーリー」というイメージが刷り込まれているので、ちょっと物足りない感があります。

そうした多くの人の感想を踏まえて僕も最後までプレイしたわけですが、クリアしてから「おや?」と思ったんですよね。

というのは、最後までやるとわかるのですが、決してゼノブレイドクロスのストーリー、単に淡白なだけじゃないのです。

ものすごーく面白くなりそうなストーリーが裏にあって、それがラスボスとのバトルの前後で一気に出てくる感じ。

フルーツジュースを混ぜずに飲むと、一番濃厚な部分が底のほうに溜まっちゃうじゃないですか。あんな感じで、ずっと淡白な流れが続き、最後の最後にぶわーっと濃い展開が来るイメージです。しかも、そんな濃厚な真実を、すべてキャラクターがセリフで説明してしまう。設定とかストーリーをセリフで説明させるのって、すごくもったいない。

正直、この脚本はちぐはぐな感じがしました。めちゃくちゃ面白いストーリーをプロットで読んでしまったような印象です。もっとうまくやれば、ゼノブレイドにも負けない感動があったのでは……と思ってしまいます。

これは予想ですが、おそらくこれ、開発途中で主人公をアバターに変えてしまったことも多少影響しているのではないかと思います。

開発者インタビューによれば、ゼノブレイドクロスは当初、前作のように固定主人公によるストーリーを計画していたらしいのですが、途中からアバターにしようというアイデアを採用して、脚本も作りなおしたらしいんですね。

これだけ濃いストーリーになりそうな素地がありながら、ラストに比重が偏ってしまったのは、脚本を急きょ作りなおした弊害が少なからず出てしまったからではと思います。正直、ラストまでは「これ、本当に前作の脚本家なの?」くらい思っていたのですが、ラストを見ると「前作の脚本家で納得! だけど、この詰め込み方はちょっと……」と印象が変わりました。

さらにいうと、クリア後も思いっきりまだストーリーが続きそうな雰囲気なんですよ。むしろ、前作でいうと、機神界で真実を知ったところで終わってしまった感じ。いやいや、これからでしょ? みたいな。ここから「真相編」が始まるんじゃないの? と。

あえてなのか、時間がなかったのか、そのあたりはよくわかりませんが、何とかして続きをプレイしたいところです。

この感覚、どこかで覚えがあるなーと思ったのですが、あれだ、FF12です。あれも、ものすごく面白くなりそうな世界観があったのに、それを生かし切れず終わってしまった感じでした。そういえばFF12も世界観やストーリーを仕切っていたディレクターが途中で降板するトラブルがありましたね……。途中で大きな方向転換を強いられると、やはりどこかに影響が出てくるのかも。

演出

主人公がアバターになってしまった影響が、演出面にも出ています。

前作は映画のように動くカメラがドラマチックさを演出していたのですが、今作ではイベント中にカメラが動かず、固定のまま。……いえ、正確に言うとカメラは動くのですが、なんと自分で動かせるのです!

いやいや! そういうのいらないです。ほんと、何でそんなことにしたのかわからない。自分で動かしてイベント中のキャラの表情を見えるとか、そういう理由でしょうか。そんなの別に見たくないので、カメラを動かすことはほとんどありませんでした。そうすると、監視カメラみたいな視点でカメラが固定されるので、何とも地味な画がずっと続くんですよね。

一部のイベントシーンはちゃんとカメラが動いて演出するだけに、もったいないなーと思いました。

それと、これも散々言われていることですが、主人公がアバターであるため、ストーリーにまったく入ってこなくて空気になってしまっています。

時折、思い出したかのように「あなたはどう思う?」と意見を求められて、「肯定/否定」みたいな淡白な二択が出てくるのですが、どっちを選んでもちょっとセリフが変わるくらいでストーリーに大した影響はありません。

BGMを止めてまで、この程度の選択肢を出すなら、いっそ主人公抜きでガンガン話を進めてくれてもよかったです。

たぶん、この洋ゲーみたいな淡白な選択肢の演出は狙ってやっているんだと思いますが、そうなると今度はストーリーがそこまで淡白になりきれていないので、何とも微妙なブレンドだな、という印象でした。

あと、これは好みの問題ですが、仲間が実質的にエルマとリンが固定で、4人目に選ぶ仲間が主人公同様に空気みたいな扱いなのも何だかなーという感じ。あれだけたくさん仲間候補がいるのだから、もうちょっと自由度を上げてほしかったところです。仲間の入れ替えも、いちいち特定の場所に出向かないといけないので面倒ですし。

BGM

前作はBGMもとても人気で、ゲーム音楽人気ランキングでも上位の常連になっています。自分もゲーム音楽好きなので、今作でも期待していました。作曲者は前作から変わり、「医龍」や「進撃の巨人」を手がけた澤野さんです。

作曲者が変わったということで、ちょっと不安もあったのですが、ふたを開けてみればすごくよかったです。

ただし、これは僕個人の感想で、他のレビューを読むと評価が分かれているようです。

その理由の一つが、ボーカル曲がとにかく多いこと。今作は町のBGMやフィールド曲、バトル曲などメインどころにもガンガンボーカルが入っていて、前作とは雰囲気がぜんぜん違います。このちょっとオシャレな感じが、前作のイメージを引きずっている人には受け入れられなかったのかもしれません。

僕も最初はちょっと違和感があったのですが、これはすぐに慣れましたね。フィールド曲はボーカルが壮大な雰囲気を演出していて最高ですし、バトルも熱い。オーバードとの戦闘曲は特に最高です。

特に好きなのは夜光の森と白樹の大陸のBGM、それからドール飛行のテーマ。サントラも購入済み。大音量で流しながら仕事しよう。

難度

前作はゲーム初心者でも気軽にプレイできたのですが、今作は明らかに難度が上がっています。というよりも、プレーヤーがネットで情報を集めることが前提になっている感じです。

本作はメインストーリー以外にもたくさんのクエストがあるのですが、中には「◯◯を集めてこい」みたいな収集依頼があるんですね。ところが、この「◯◯」の場所が本当にざっくりとしか示されていないので、情報を持たずに飛び出すとぜんぜん見つからないこともざら。

じゃあどうするのかというと、ネットの情報に頼るしかないわけです。ゲーム内でもプレーヤー同士が情報交換できるメッセージシステムがあるので、それを参考にすることもできるのですが、ネットの方がやはり充実しています。

ネットで場所を調べて出かけるのですが、今度はその場所にたどり着くのに一苦労します。というのもこのゲームのフィールド、とにかく凝りまくっていて、同じ大陸や地域でも三層くらいの高低差があるのです。

ところが、ミニマップではそれがわかりにくいため、こっちかなと思って歩いていくと、どこまでも続く崖に阻まれて登れないという事態に陥ってしまいます。

一応、ホッパーカメラとナビゲーションボールという誘導システムは用意してくれているのですが、それを使ってもなお、「あっちに行きたいのに行けない」というストレスは頻繁にあります。初心者だと、これが苦痛でやめてしまうかもしれません。

ただ、ここをシンプルに一層構造にしてしまうと、今度はゼノブレイドクロスのフィールドの面白さやリアリティなどが損なわれるので、難しいところ。

とにかく投げ出さずに、迷うこと自体を楽しんでくださいとしか言えないですね。

ちなみに、そういう諸々のストレスは、後半になって飛行できるようになると一気に解消されます。もう、めちゃくちゃ気持ちいい。むしろ、この瞬間のためにここまでストレスを味わってきたのかと思うくらいスッキリするので、ぜひ9章までがんばってほしいです。

総評

プレイして印象的だったのはそんな感じ。バトルやクエスト、オンラインのシステムなどは細かくなるので割愛します。

不満点はたくさんあり、前作のような面白さを期待していた人には、決して手放しでオススメできるタイトルではありませんが、惑星ミラの作りこまれたフィールドと、そこを走る楽しさは、そうした諸々の不満をすべて吹き飛ばすものがあります。

前作がストーリー(100点)+演出(100点)+BGM(100点)+世界観(100点)=400点だとしたら、今作はストーリー(50点)+演出(30点)+BGM(70点)+世界観(250点)=400点みたいな感じ。

クリアした後もぜんぜん終わっていない感覚で(実際、クリア後に出てくるクエストもたくさんあるのですが)、まだまだ楽しめそうです。無限に時間を吸い取られるのだけはどうにかしないとですが……。