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EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMレビュー:歪曲や周辺減光はあるが、安定した性能と高い解像性能を持つ優秀なズームレンズ

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EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMはEOS Mシリーズのキットレンズとして付属する標準ズームレンズです。

スペック自体にこれといった特徴はありませんが、ボディの仕上がりは上々で高級感があります。ズームで鏡筒があまり伸びないのも好印象。AFもボディ次第ではありますが、そこそこの速さです。

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そんなEF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMの写りについてテストしてみました。



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18mm広角端RAWストレート現像補正なし。ISO100、WB太陽光。開放で撮ったつもりがF4になってた……少し差っ引いて見てください。

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その中央、等倍。

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隅、等倍。

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18mm広角端Lightroomで現像補正あり

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中央、等倍。

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隅、等倍。

まず目につくのは周辺減光です。開放F値の3.5からちょい絞ったF4ですが、隅はまだ1EVほど落ちています。それから、後でまた出しますが樽型の歪曲もかなりあります。これはもうズームレンズの宿命として割り切るしかありません。

それを除けば、中央は開放付近からすでにかなり解像しており、標準ズームレンズとしては立派な写りでしょう。

隅の解像もまずまずで、それほど流れずよく粘っているという印象です。ただ屋根にモアレが顕著に出ています。

ここから少しずつ絞っていきますが、補正すると同じようになるので、補正なしでストレート現像したものを比べていきます。

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18mm F5.6 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

中央は絞ってもあまり変化しません。歪曲もさほど変わりませんが、周辺減光は顕著に回復します。周辺は解像感もグッと向上します。

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18mm F8 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

中央はやはりほとんど変わりません。しいていうなら、F5.6の方がほんのわずかだけ解像している感じもありますが、等倍にして見分けがつくかつかないかというレベルです。

周辺減光についてはF5.6よりもさらに回復し、隅の解像感もわずかに増している印象です。ただ、ほとんど差はわかりません。はっきりわかるのは周辺減光の違いくらいです。

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18mm F11 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

中央はほとんど変わらない印象ですが、モアレが少なくなっているので、やや解像が落ちているものと思われます。ただ、並べてもほとんど見分けがつかないので、むしろモアレが出そうなときは積極的にF11くらいまで絞りたいところ。

周辺減光はさらに回復します。

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18mm F16 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

周辺減光は完全に解消しますが、今度は回折の影響で解像感が低下していきます。といっても、これも並べてやっと気づくレベルなので、気にしなくてもいいかも。F11ではわずかに残っていたモアレもF16まで絞ると完全に消えます。

続いて55mmの望遠端の写りはどうでしょうか。

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55mm F5.6開放。補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

中央は開放から文句なし。広角側と比べると隅もかなりしっかりした描写です。周辺減光は若干ありますが、気にしなくていいレベル。

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55mm F8.0 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

F8まで絞ると中央はさらに解像し、周辺減光もほぼゼロになります。このあたりがベストな絞りか。

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55mm F11 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

F11からは絞っても描写はほとんど変わりません。

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55mm F16 補正なし。

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中央、等倍。

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隅、等倍。

F16も立派な写りですが、ほんのわずか回折の影響が出始めてきたかも。ちなみにF22まで絞るとはっきり回折でゆるくなるので、F16までにしておいた方がよさそうです。

さて、最後に歪曲。

このレンズ、広角側で強い樽型の歪曲があります。

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これを現像ソフトで補正すると、

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こうなります。

ただし、歪曲が目立つのは広角側だけで、望遠端ではごくわずかに糸巻き型になるだけです。

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補正なし。

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補正あり。あまり変わりませんね。

周辺減光と歪曲についてはボディ内でも補正できるので、わかってて設計しているのだと思います。

なお、キヤノンのボディ内補正よりもLightroomの自動補正の方が強めにかかるようです。


結論。キットレンズとしては非常に優秀で、バランスのとれた一本といえます。

このクラスとしては解像は申し分なく、広角から望遠まで安定した性能が出ます。周辺はさすがに弱いですが、ズームということを考えれば及第点。

APS-Cのキットレンズとしては1、2を争う性能でしょう。

EOS Mのレンズは標準ズームレンズの選択肢がほとんどありませんが、これ一つあれば十分ともいえます。