コメモ。

日記。メモ。備忘録。

デジカメ初心者には、中古カメラよりも「型落ちモデルの新品」がオススメ

ん〜……なんかちょっとモヤっとするなぁ。

こちらの記事で、デジカメ初心者に中古カメラ購入をオススメされているのですが。

nomad-saving.com

たしかに中古カメラには、ここに書かれてある通り、

  • 安い
  • そのわりに状態の良いものも多い

といったメリットがあるのですが、当然デメリットもあります。

それを知った上で買うなら中古でもいいと思うのですが、元記事に書かれてある「カメラ初心者」あるいは「はじめてカメラの購入を検討している人」がそれをきちんと把握して中古カメラを購入できるのかはちょっと疑問です。

じゃあ中古のデメリットとは何か。


デジタル一眼レフにはシャッター耐久回数がある

大きな注意点としては、「切られたシャッター回数がわからない」ことがあります。

そもそも、一眼レフのシャッター回数にはいつか限界が来るということをご存知でしょうか?

たとえば元記事で中古がオススメされているD7100の場合、シャッター耐久回数の公称値は約15万回です。

これがD5500などの入門機になると約10万回に減りますし、キヤノンEOS Kissシリーズに至っては非公開であるものの、約5万回と言われています。シャッターユニットは消耗品なので、無限に使えるわけではないのです。

d.hatena.ne.jp
↑こちらにニコンとキヤノンのシャッター回数が記載されているので参考まで。

この数字を見て、「なんだ、5万枚も撮れるならぜんぜん大丈夫でしょ」と思いますか?

たしかに、週末しかカメラを使わず、大切に1枚ずつ撮るタイプのオーナーが手放したのであれば、数千回〜1万回未満しかシャッターが切られていない中古品もあるでしょう。

しかし、連写で限界近くまでシャッターを切ってから売られた中古品も当然あると考えるべきです。実際、僕ですら取材に行くと、一日で1,000回近くシャッターを切ることもあります。撮るものによっては、もっとシャッターを酷使する人もいるでしょう。5万枚という耐久回数は決して多いとは思いません。

blog.hirokikana.com
↑たとえば、こちらのブログ記事では中古カメラを購入してシャッター回数を調べたところ、約77,000回切られたものだったことが報告されています(耐久回数は約10万回)。ただ、こちらのブロガーさんは詳しい方で、それをわかって購入されているのでいいのですが。

問題は、この「切られたシャッター回数」がカメラの外観からはわからないということです。僕が使っているカメラも枚数はかなり撮っていますが、大切に使っているので見た目は綺麗です。

シャッター回数を調べる方法は、カメラのメーカーや機種によって異なります。

たとえばリコーのGRであれば、電源オフの状態で再生ボタンとホワイトバランスボタンを同時に3秒長押しすると確認できます。OM-D E-M1の場合はかなりややこしいのですが、こちらのブログで示されている手順で確認できます。

ニコンやキヤノンの一眼レフに関しては、あまり真剣に調べていないのですが、専用のソフトを使ったり、専用のウェブサービスに写真をアップしたり、サービスセンターに持ち込むことで確認できるようです。

シャッター回数に関しては中古カメラショップでも確認したり表記したりはしていないはずです。外観が「美品」でも、シャッターユニットが消耗している可能性もあるのです。

価格.comの掲示板などを見ると、中古ショップにPCを持ち込んでシャッター回数を調べるという猛者もいるようですが、いずれにしても、元記事で対象にしている「はじめてカメラの購入を検討している」初心者が店頭で気軽に確認できるものではありません。

別にシャッターがたくさん切られてしまっているからダメというわけでもないし(結局、自分がそんなに撮らなかったりもする)、実際には公称値より多く撮れたりもするのですが、少なくとも「中古品はいくら見た目が綺麗でも、やはり新品とは違う」ということは知っておくべきです。

カメラは価格だけで選ぶべきではない

さて、ここでもう一度、元記事に戻ってみます。

元記事では、なぜか入門機であるD5500レンズキットの新品(約9万円)と、中級機であるD7100(約6万5000円)+単焦点レンズを比較して、D7100の方をオススメしています。これもちょっとモヤっとする比較です。

というのは、D5500とD7100は価格だけを条件に比較すべき機種ではないからです。

元記事では、「ボディは型落ちになるとはいえ、中級機。最新モデルの入門機と比較しても、堅牢性や連射速度、操作性などが圧倒的にレベルアップしています」と書かれており、たしかにその通りなのですが、逆に「はじめてカメラの購入を検討している」レベルの初心者に、どこまで「堅牢性や連写速度、操作性」が必要なのかは疑問です。

初心者に必要なのは、むしろ気軽に持ち出せるコンパクトさや軽さではないかと僕は思います。

その点から見ると、D5500の重量は420gで、D7100は675g。本体の大きさもD5500の方が圧倒的にコンパクト。コンデジ感覚で使えて動画撮影時に便利なバリアングル液晶も搭載しています。入門機は伊達に入門機を名乗っているわけではありません。たしかにD7100の方がハイアマチュアをターゲットにしているだけあって機能てんこ盛りですし、2ダイヤルあるので操作性も抜群ですが、初心者がそれらを使いこなせるでしょうか。使いもしない機能や無駄に高いスペックは、むしろマイナスポイントです。

元記事には、「下位のモデルを買うと、上位機種に移行したくなる衝動に駆られ、あまりカメラを使わずに買い替えする人がとても多い傾向があります」とありますが、「下位機種で満足しており、週末と旅行とイベントに使うだけ」という人もたくさんいます。「持っているし使うけど、オートで撮るだけで十分」という人が僕の周りにはたくさんいます(そもそも、そういう人が一眼レフを持つ必要があるのかというのはまた別の問題です)。

なので、中古のお得感を表現するために、単純に入門機と上級機を比較するのはあまりよろしくないかと思います。入門機と上級機はターゲットも役割も異なります。比較するなら、まったく同じモデルとレンズの組み合わせで比較する方がフェアでしょう。たぶん、D5500は発売したばかりで、マップカメラには中古品が出ていないので、こういった比較になったのかなと予想しますが……。

ではD7100の最安値と中古品を比較してみましょう。

初心者には型落ちモデルの新品購入がオススメ

マップカメラでのD7100の中古価格は、「美品」で67,800円〜70,800円となっています。

対して、新品はというと、価格.comで調べる限り、最安値が76,395円。以下10位くらいの店舗まで、76,000円台が続きます。

上記のようなリスクがあることを承知で、約1万円を節約するかどうかです。

少なくとも僕なら、D7100に関しては新品を買います。

なぜ、あまり差がないのかというと、D7100は型落ちだからです。現在のこのラインの最新モデルはD7200で、D7100は一世代前のモデルなので新品でも安くなっているわけです。

中古品がダメというわけではありません。中古品にはそうしたリスクを考慮してもお買い得な掘り出し物が眠っていることも多いです。しかし、初心者にその判断を求めるのはちょっと酷でしょう。

元記事にも書かれてありますが、「2,3世代型落ちしているモデルでも、充分な性能のもと使用することができ」ます。

それならばなおさら、初心者には中古品よりも価格が落ちて中古品とさほど変わらなくなった型落ちのモデルを、新品で買うことをオススメします。

その際は、価格で選ぶのではなく、今の自分に何が必要で何が不要なのかを考えて選ぶ方が、結果的に無駄な買い物にならないと思います。

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