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【レビュー】サイバーショット「RX100 M3」は取材仕事に使えるカメラか?

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ソニーから5月30日に発売となるコンパクトデジカメの新製品「RX100 M3」を、先行展示されている銀座ソニープラザで触ってきました。

ご存じない方のために説明しておくと、RX100は2012年に初代のモデルが発売されたサイバーショットシリーズの高級コンパクトデジカメ。そのコンパクトさからは信じられないほど高画質な写真をたたき出し、カメラファンに衝撃を与えた製品です。

単に高画質なコンパクトカメラなら他にもあるのですが、ズームができてこのサイズでこの画質を実現しているのは、未だにRX100シリーズのみです。

1年経つと一気に古くなってしまうデジカメ業界で、2012年発売の初代モデルが未だに売れ続けていることからも、そのすごさがわかります。こちらは2年経ってそれなりに安くなっており、4万円以下で買えるのでもうむちゃくちゃお得です。

「コンパクトなデジカメがほしいんだけどオススメはある?」とよく聞かれるのですが、答えは毎回「4万出せるならRX100で」でファイナルアンサーです。それくらいのカメラです。

……いきなり興奮してしまいましたが、そんなRX100の3代目にして最新モデルとなるのがRX100 M3です。ネットでは発表前からいろいろな噂が飛び交っていましたが、満を持して発表されたスペックは、そうした期待を裏切らないものでした。

価格は8万円以上と一眼レフ並ですが、それだけの価値は十分にあるカメラと断言できます。

それでは以下、簡単ですが触ってきたファーストインプレッションを。

 

外観

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外観は従来のRX100、RX100 M2とほぼ変わらず、かなりコンパクトです。唯一、厚みだけは数ミリ増えたのと、あとは数十グラムだけ重くなりました。しかし十分に許容範囲です。並べないと思い出せない程度の違いです。

実物を見るとわかりますが、普通のコンパクトデジカメと同程度のサイズです。iPhone5と並べると、横幅はRX100 M3の方が小さく、縦はRX100 M3の方が少し大きいくらい。ポケットにも十分入るサイズでしょう。初代が騒がれたのも同じ理由でしたが、機能を考えると信じられない小型化です。

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電源オフ時を横から見るとこれくらい。バリアングル液晶やレンズ性能、操作性のことを考えると、これ以上は無理というくらい薄くなっています。コンパクトデジカメの最大のメリットはこの「薄さ」。縦横サイズが小さいカメラはそれこそミラーレス一眼にもたくさんありますが、レンズまで含めて「薄い」のはコンパクトデジカメならではの特権です。当たり前ですが、薄い方が圧倒的にカバンやポケットに収納しやすいんですよね。

僕はどうしても「取材仕事で使えるか」という視点で見てしまうのですが、これだけ小さければ、カバンの隅っこに押し込んでおけるので、予備機としてかなり重宝しそうです。

レスポンスとレンズ性能

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起動からレンズ繰り出し、撮影可能になるまでの時間は体感で1秒ちょっと、2秒いかないくらい。激烈に速いわけではありませんが、遅くてイラッとするほどではありません。設定変更やズームなど、その他の操作に対するレスポンスも上々で、ストレスは感じませんでした。ただし、GRのような爆速レスポンスではありません。あくまでコンデジとしては合格、という印象です。

レンズ性能に関しては、今回は時間もなく撮影データも持ち帰っていないのでよくわかりませんでした。F1.8-2.8という圧倒的な明るさは、暗所撮影が多い取材仕事では重宝しそうですが、望遠が70mmになったのが気になります。仕事内容にもよりますが、取材で必要になる焦点距離はだいたい28-105mmあたりです。70mmでは正直、短すぎます。

ただし、RX100 M3は2000万画素もあるので、105mmくらいまでならデジタルズームで対応できそうな気もします。焦点距離1.5倍なので900万画素くらいでしょうか。これくらいならまぁ、ウェブ媒体なら使えそうです。

EVF(電子ファインダー)の性能は?

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今回のモデルから、EVF(電子ファインダー)が内蔵されました。本体の左のスイッチを押すことでカシャンと上がってきます。ポップアップしたら、さらに接眼部を手前に引き出して使います。引き出すのを忘れてのぞくと、電子ファインダー内のピントが合いません。小型化のために仕方ないとはいえ、使うまでに2ステップあるのはちょっと気になります。

また、これだけ小さいと見え方が心配だったのですが、そちらは杞憂でした。たしかにファインダーは小さいのですが、APS-Cに近い倍率は確保できている印象です。ファインダーにはアイセンサーが搭載されており、目を近づけるとプレビューが自動で背面液晶から切り替わります。いちいちボタンで操作するのは面倒なので、これは便利です。画素数は144万と、精細さも十分。ファインダーがないカメラなんて許せないというマニアのために"つけただけ"ではなく、実用的なファインダーです。

ちょっと気になるのは、電子ファインダーを押し込んでしまうのに連動して本体の電源もオフになる点。時間がなくて確認できませんでしたが、このオンオフは切り替えられるのでしょうか……。

僕が電子ファインダーを使うとしたら、普段は背面液晶を基本にしつつ、直射日光などで液晶画面が見づらいときに電子ファインダーを上げる感じでしょうか。というのも、電子ファインダーはかなり電力を食うので、ずっと使っているとバッテリー切れが早くなってしまうのです。個人的には、背面液晶で撮れる環境なら背面液晶で撮ってしまった方がいいと思います。

そうはいっても、いざというときに使えるのはかなりのアドバンテージです。炎天下の観光地や遊園地でお子さんを撮りたい親御さんの切り札になるでしょう。

ストロボ

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ストロボは真ん中にあります。電子ファインダーと両立させたのは見事。というか、これだけいろんなギミックを内蔵してこのサイズというのは本当にすごい。

ストロボはスイッチを押すことでポップアップし、手で押し込んで戻します。光量は確認していますが、コンパクトデジカメなのでたいしたことはないでしょう。日中シンクロか、暗所での記念撮影で使うくらいでしょうか。バウンスが使えませんし、もともとレンズが明るいので、暗所では使わない方がマシかもしれません。

180度チルト液晶

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個人的にレンズが24mmからになったのと同じくらい注目しているのが、180度チルトするようになった液晶モニタ。これがあると、

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こういう風に手前からプレビューしつつ撮れるので、友だちとの自撮りなどにはかなり便利なんですよね。観光地でも毎回「撮ってもらえますか?」と声をかけなくてもよくなります。

ここでレンズが24mmと広角になったのが生きてきますね。自撮りする距離で28mmスタートだとちょっと狭くなってしまうので、24mmになったのは特にファミリーには嬉しい変更点でしょう。取材仕事で自撮りはしませんが、24mmと28mmの違いを感じる場面は多々あるのでありがたいです。

で、結局のところ、どんな人にオススメなのか?

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結論としては、コンパクトなカメラを買おうとしている人、全員にオススメです。「9万出せるならこれ買っとけば間違いない」と言えます。そもそもカメラに9万出す人はそんなにいないと思うけど、気合入れて一眼レフ買って結局重くて持ちださなくなるよりよっぽどいいと思いますよ。僕も撮影目的以外の外出ではコンデジしか持って出ません。一眼レフは「なんとなく持って出る」には大きすぎるし重すぎます。

あと、電子ファインダーは使わない人も多いと思いますが、直射日光下で使うという用途だけ覚えておくといざというとき便利です。何より24mmと広角になったこと、180度チルト液晶がついたことで、ファミリーや学生さん、友だちと一緒に自撮りしてFacebookに写真をアップするという人にもオススメできます。一人旅でも使えますね。Wi-Fiが搭載されているので、スマホと接続すればその場でアップできますし。

結論としては、日常使いと旅行においては現時点で最強のカメラだと思います。取材仕事だけだと、価格差を考えると初代RX100でもいいかな。+日常なら断然RX100 M3なんだけど。

気になる点

ほぼ完璧なカメラですが、気になった点もいくつかありました。

まず、ストロボの耐久性がちょっと不安です。細い脚2本で支えており、戻すときは手で押しこむので、何かあるとポロッといきそうな気もします。やっぱりストロボは緊急時のみにした方が安心できそう。せっかく明るいレンズ積んでいるのですし。

あとは先程も書きましたが、電子ファインダーが使うまでに2ステップかかることと、押しこむことで電源オフになる仕様ですね。これは慣れの面が大きいと思うので、ちょっと保留。

でも、気になるのはそれくらいですかね。他にもめちゃくちゃ良くなったと評判の動画品質とか、高感度性能とか確認したいことはいっぱいあるのですが、とりあえずちょっと触った感じのファーストインプレッションはこんなところで。

こちらは初代RX100。4万切った価格はバーゲン。