【ニコンD800Eレビュー】記者の仕事に3600万画素は必要か?【満足度90/100】
2012年に発売されたニコンのD800E。1年経つと古さが出てくるデジカメ分野において、2年経った今でも一線級の性能を持つモンスターカメラです。ちなみにD800とD800Eの2種類がありますが、ほとんど違いはないので好みで選びました。
購入以来、メイン機として仕事で使い倒しましたので、現時点での印象を書いておきます。
3600万画素は必要か?
購入する際にもっとも迷ったのがこの圧倒的な画素数。はっきり言ってウェブ媒体であれば800万画素もあれば十分です。紙でも雑誌サイズなら1200~1600万画素あれば対応可能。3600万画素といえばポスターでも作るのかという画素数です。じゃあ必要ないのかといえば、なくてもいいけどあると嬉しいというのが結論になるでしょうか。
というのは、発売当初からさんざん言い尽くされていたことでもあるのですが、3600万画素あるとかなりのトリミング耐性を持つんですね。
たとえばD800Eで撮影したこの画像。
これを焦点距離1.5倍でDXクロップすると、
ここまでアップにすることができます。これでも画素数は1500万画素オーバー。トリミングやクロップを嫌う人もいますが、取材仕事においてはトリミングしようがクロップしようが撮るべきものを高精細に撮れる方がいいに決まっています。なにせ、70-200mm F2.8が、なんちゃってサンニッパになりますからね。前に学校を取材したとき、小さな文字で書かれたポスターをササッと撮影しておいたのですが、あとから拡大してみるとすべての文字がはっきり判別できて、内容を把握するのに非常に助かりました。
もちろん、スポーツなど一瞬を切り取る必要がある過酷な報道では、連射速度が10コマ/秒を超えて大量のバッファを積んだD4(D4s)一択でしょう。しかし、そうではない報道仕事では、D800Eの超高画素が思った以上に良い仕事をしてくれます。あと、専業でない身にD4sの60万円はちょっと高すぎるというのも本音。
圧倒的なレタッチ耐性
D800Eを使ってもうひとつ驚いたのは、その圧倒的なレタッチ耐性です。僕はJPEG以外にRAWで撮影しておいて後から現像で調整することが多いのですが、ダイナミックレンジがおそろしく広いため、後処理で驚くほど写真が破綻しないのです。
写真を出せないのが残念なのですが、以前に人物撮影をした際、先方からの要望で露出を後から調整しました。かなりゴリゴリ調整したのでどうなることかと思ったのですが、白飛びも黒つぶれもすることなく、しっかりとデータが残っていたので処理がとても楽でした。
気持ちアンダーに撮っておいて後からシャドー部分を持ち上げると、「マジか」と思うくらい絵が出てきます。何よりも「写っていること」が重要な取材仕事においては、これは非常に強力な武器になります。
課題も
とはいえ課題もあります。というか、もともと風景用に使われることが多いカメラなので仕方ないのですが、まず連射速度が遅い。そしてバッファもそれほど多くはありません。画素数が多いこともあってか、高感度もそれなりという感じ。ついでに3600万画素というデータ量はRAWだと1枚あたり50MBを軽く超えてくるので、保管するときにHDDを圧迫します。
それは使う前からわかっていたことで、どうしても我慢できなければ買い替えようかと思っていたのですが、使ってみると前述のメリットの方が大きくて、これらの短所はむしろ十分にカバーできていると実感しています。
もうひとつのメイン機、OM-D E-M1とはまったく性格の違うカメラなので、仕事内容で使い分けることができるのもいいですね。
今後さらに新世代機が出てくれば買い替えることもあるかもしれませんが、現時点では十分に満足している一台です。
そもそもが3世代くらい先を行くカメラなので、今から買うとしても十分にオススメできます。
【ここが◯】
- 高いトリミング耐性
- 広いダイナミックレンジ
【ここが×】
- 連射速度
- バッファ量
- データ量の大きさ
- 高感度画質があと一歩
【満足度】
90/100